あの人が見た風景を視る

明日、私の母の古希(70歳)のお祝いに5月から計画していた旅行に母、叔母、姉家族と行きます。総勢10名で向かう先は奈良の奥の奥にある天川村です。

天川村は電車を降りてから路線バスで1時間揺られて行った先にある、秘境のようなところで、実は私が中学生の時から行きたかった場所です。私を歴史好きにしたきっかけの一つとなる小説で登場する地域なのです。

その小説は「宇宙皇子(うつのみこ)」という作品で、中学2年生の夏休みの終わりに私が自由研究の課題に追われて夜中までリビングで編集作業をしなければ出会わなかった小説です。慣れない自由研究に疲れてふと左を見遣ると、本棚の一番下の段に、姉が図書館で借りてきた新書があり、何の気なしに手にとってしまったのが決定的なきっかけでした。

その話は8世紀の奈良を舞台にした物語で、自らの出生の秘密と能力から主人公が常に社会の一大勢力と対決し、葛藤し続ける話です。当時の朝廷との絡みがあるのでかろうじて歴史物のジャンルに入ると思われますが、大半は主人公の葛藤(葛藤という言葉をこの小説で覚えたくらい)を軸に展開します(笑)

シリーズ自体は第5部まで続く壮大な話なのですが、私は高校生までかかって第2部の終わり、計20巻目まで読みました。いのまたむつみさんによる挿絵も好きすぎて画集も買っていました。その小説に出てくる山が大阪と奈良の県境にある二上山で、それが実家から見えたことで物語世界に私は親近感を抱きました。その小説がなければ私は日本の歴史、少なくとも古代史に興味を持っていなかったのじゃないかと思います。

未だにその小説のメイン舞台になった飛鳥浄御原宮、つまり明日香村には時々行きます。去年は上の子と明日香村に通いすぎて、レンタサイクル屋さんで顔を覚えられてしまったくらいです。暑さが収まればまた今年も行ってこようと思っています!

明日香村に行くと必ずするのが、乙巳の変(大化改新)の舞台、伝板蓋宮跡でぽつんと立ち、周囲をぐるりと見渡すことです。その地に立てば、実在したその人たち(フィクションであっても!)の見た風景が視え、風を感じることができます。遠い時空を隔てていても感覚を共有することができるのが、歴史を知ることの醍醐味だと思います!

私が歴史を好きなのはそんな理由です。想像力を駆使して共感することは、ある種のファンタジーに近い体験だと思います。その感覚を天川村で存分に味わってこようと思っています😊

下の写真は全く関係ないですが、最近食べたバナナマフィンです🍌😊上に乗っているクランブルがほろほろ崩れて美味しかったです💕

あしたのパン焼きさん

奈良・西ノ京でオンラインのタロットカード専門店Sweet Magical Card を営んでいます。完全予約制にて対面鑑定も実施中。 文書いたりイラスト描いたりタロットカードで占ってみたりしてますが、実はパンも焼いてます。

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