出会うべくして出会う

去年、日付けを1年間違えて美術展に行ったことがあります。「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」という、中之島にある国立国際美術館での美術展です。

気の早いチラシを見て、クリムトもウィーンもアール・ヌーヴォーも大好きな私は開催年もよく見ずに行ったのです。その時は行ってみたらプーシキン美術館展をしていたので、落胆しながらもしっかり楽しんできた(予想に反して内容が良すぎて目録まで買ってしまう始末)のですが、その1年後!満を持して今度こそは、と昨日とうとう行ってきました。

たしか24歳の秋だったと思います。ヨーロッパのサマータイムが終わる頃、10月末に生まれて初めてのヨーロッパ旅行の行き先として選んだのは、ウィーンとパリでした。高校生の頃からハプスブルク家の歴史が大好きだったのと、10年間ピアノを習っていた身としては、音楽と歴史の都ウィーンに一度行ってみたかったのです。あとカフェ好きなのでウィーンのカフェに行ってみたかったのです。

ちなみにパリは初め、せっかくヨーロッパまで行ってウィーンだけというのはもったいないという気持ちで、ついでに行くことにしただけでした。軽い火遊びのつもりが、あとあと大火事になってしまうくらい、パリは私の人生を変えてしまう街だったのですが(パリにはその後3回行くことになる)、それはまたの機会に書くことにします。

その、初のヨーロッパ旅行の時の記憶を下敷きに今回展示を見たわけですが、それでも去年行くのと今年では、全くといっていいくらい行く意味が違いました。ブログを継続して読んで下さってる方はお気づきだと思いますが、春からこっち、私はアンティークグッズを少しずつ買ったりあちこちのアンティークショップに出入りしてはべらべら喋って帰ったりしています。やりたい仕事のうちの一つの準備の一環でもあるのですが、子どもの頃から歴史好きだったという土壌も手伝って、好きという気持ち一つだけでのめり込みつつあるのです。

その、のめり込みがちな目で見た今回の展示は、もう、感動の嵐でした!美しい!面白い!貴重!実物を見る感動!手触りまでわかりそうな距離で見られる楽しさ!デザインの秀逸さを一堂に味わえる贅沢!つくづく、今のタイミングでこうして見に行けて美しいものを美しいと感じることができる幸せを感謝するばかりでした。

出会うべくして出会う、というか、出会うタイミングというのはあるのだなとつくづく思いました。去年行ったのでは、旅行で見たことを思い出してそーいやこんなんだったなと、16年前の余韻に浸るだけだったと思うのです。それが、今年は違って見えたのです。そこに展示されているものの凄さの理由が少しだけわかったというのもあると思います。

2時間と少ししてから、私は不思議な満足感と共に美術館を出ました。この世界はきっと、今会うべきものにしか会わないようにできているのです。心の底から会いたいものがあるなら、自分をそこに相応しくなるよう、引っ張りあげるように努力すれば叶うのだと思いたいです。
下の写真は目録と、クリアファイルです。

あしたのパン焼きさん

奈良・西ノ京でオンラインのタロットカード専門店Sweet Magical Card を営んでいます。完全予約制にて対面鑑定も実施中。 文書いたりイラスト描いたりタロットカードで占ってみたりしてますが、実はパンも焼いてます。

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